kikka

2026.02.19
車いすでも、家族みんなで海へ!ユニバーサルビーチ体験記①
~バリアフリーなビーチってどんなところ?~
我が家には電動車いすを利用している中学生の長女と、小学生のきょうだい児(次女)がいます。
ある冬の日、次女が「夏になったら海に行きたい!海で遊びたい!!」と言い出しました。
ううん・・・。海に車いすユーザーを連れていくなんて考えたことがなかったな。キャンプは好きだけど、海キャンプ未経験だし行ってみたい気持ちはある。
確か茨城県の大洗町に水陸両用の車いすを借りられるビーチがあったはず。夏まで調べる時間はたっぷりある。よし、計画してみよう!
ここから始まった、海遊び計画。
インターネットで大洗町の海水浴場を調べ、車いすユーザーにも優しそうなキャンプ場も予約。
海遊びの持ち物は手探りだけど、まあ何とかなるでしょう!と思いながら当日を迎えました。
遊んでみると予想以上に楽しく、すっかり海遊びのファンになった私たちは2023年の海デビューから3年連続で遊びに行くほどに。我が家の夏のイベントが一つ増えたのはとても嬉しいことです。
大空のもと、海にぷかぷか浮かぶ体験はなかなかできることではありませんが、障がい児、特にバギーや車いすを利用しているとハードルが高いと思う方がいらっしゃると思います。そもそも海に行く発想が浮かばないかもしれません。
もしかしたら、計画段階で頼りになるネットでは当事者の体験談が少なくてイメージがつきにくいなと感じて断念された方がいらっしゃるかもしれません。
そこで今回のレポートでは、車いすユーザーの障がい児を持つ我が家が実際にどんな海遊び体験をしたのか、2回に分けてお届けしたいと思います。
☆ユニバーサルな、バリアフリーなビーチって?☆
全国には、車いすユーザーや高齢者など、老若男女みんなが楽しめる「ユニバーサルビーチ」「バリアフリービーチ」という取り組みをしているビーチがいくつかあります。
この取り組みの中でも特徴的なのは、“水陸両用の車いす”を貸し出していること。
バギーや車いす、ベビーカーはご存知の通りそもそも舗装された道路に対応しており、砂利道などでは走行性能は高くありません。
特に砂がさらさらしていたり深かったりする砂浜では前輪が砂に埋まってしまい、前に進むのはかなりの難易度。
そこで活躍するのが、砂浜での走行に対応し、さらには水の中にも入れる”水陸両用の車いす”です。
浜辺でのんびり過ごすことも、ライフジャケットを装着して介助者と一緒に海に入って遊ぶこともできます。
アウトドアに特化したこの車いすは山のレジャーや冬のゲレンデでも使用可能で、車いすユーザーのお出かけの可能性を広げてくれる優れモノです。
そしてまたバリアフリーなビーチでは、この”水陸両用車いす”の貸し出しだけではなく、砂浜を手持ちの車いすやベビーカーでも走行できる「ビーチマット」が敷かれているところが多くあります。
他にも障がい者専用更衣室を設置したり、海の家周辺にデッキを設置して散策ができるように工夫をしているところなど、全国には様々な取り組みをしている海水浴場があります。
東京在住の我が家が実際に足を運んだ首都圏のユニバーサルビーチの様子は、次回レポートしたいと思います。

(砂浜に敷かれたビーチマット)
☆楽しいけれど、もっと良くなる!と思うところ☆※個人的な希望
これまで私は2か所のユニバーサルビーチ(大洗サンビーチ海水浴場・逗子海水浴場)に行きましたが、共通して困ったのが「着替え問題」。
行きは車でささっと着替えればOKですが、帰りが困るのです。
長女は上肢・下肢・体幹機能障害があり単独で座位・立位をとることができないため、横になって着替える必要があります。
しかし、残念ながら2か所のビーチとも横になって着替える設備はありませんでした。
大洗サンビーチ海水浴場で利用した障がい者専用更衣室では、シャワー後の濡れた床に直接レジャーシートを敷いて対応しました。
逗子海水浴場では海の家を利用しました。
しかし、海の家はコインシャワーのように一人用の半個室のシャワーが多く、ゆったりと着替えるのは難しいのが現状です。
初めて行ったときには何とかなるでしょう!と軽い気持ちでチャレンジしましたが、かなり無理な体勢で着替えさせざるを得ませんでした。
2回目の今年は去年の失敗を踏まえてパトロール本部に相談。広めのシャワー室がある海の家を探していただき、快く受け入れてくださった海の家を利用することに。
シャワー室は個室仕様ではなく広々快適。
お店の人も親切でとてもありがたかったのですが、他のお客さんもいる中で床に寝かせるわけにもいかず、幼児用の椅子をいくつか連結して着替えさせるので精一杯。汗だくの着替えタイムに、頑張れ、母!頑張れ、父!状態でした。
車いすユーザーは立位が安定しなかったり座位がうまくとれない人がたくさんいます。
サマーベットでも簡易ベンチでも、なんでもいい。床ではない場所に横になって、あるいは、ゆったり座って着替えができるような更衣室を設置してもらえると安全で、着替えの心配が軽減され、より海遊びが楽しくなると感じました。
そしてもう一つは、これまで利用した水陸両用車いすは大人サイズのため、小柄な小児(長女は身長約125cm)にはフィットしにくく工夫が必要な点も今後の改善ポイントだと感じます。
これはメーカーさんにお願いしたほうがよいのかなと思いますが・・・書き加えておきます。
もうひとつ欲を言えば、せっかくの楽しい海遊びの情報をもっともっと広く知ってほしい!
ユーザー目線はもちろん、これを読んでいる海水浴場関係者の方がいらっしゃったら、その設備や海遊びの魅力をもっともっと詳しく発信してほしい!と思います。
☆優しくて居心地のよい世界☆
ビーチに行って感じたのは、ビーチを運営しているスタッフさんたちがとにかく優しい!この一言です。
「困ったことがあればいつでも聞いてくださいね」
「何かあったら、ビーチにいるライフセーバーに言ってくださいね」
「またお友達も一緒にぜひいらしてくださいね」
明るい笑顔で迎えてくださり安心感がありましたし、こちらの困りごとも聞いてくださり、次年度以降に向けて頑張ります!という非常に心強い言葉をかけてくれました。
ハード面での整備だけではなく、迎えてくださる皆さんの心の温かさは本当にありがたいものです。
☆まずは、ご近所のビーチを探すことから☆
いかがでしょうか。海に興味がでてきたでしょうか。
ご近所のユニバーサルビーチ探しは思っている以上に簡単です。
まずは、”海水浴場” ”水陸両用車いす貸し出し” ”ユニバーサルビーチ” ”○○地方/○○県”
というワードで検索してみてください。
そしてもう一つのおすすめ検索ワードは 「ブルーフラッグ認証ビーチ」※1 です。
ブルーフラッグ認証を受けているビーチの多くはビーチマットの設置や水陸両用車いすの貸し出しをおこない、すべての人が楽しめる海水浴場づくりに取り組んでいるようです。
2025年4月時点で国内に12箇所あるこれらのビーチは環境教育や水質、環境マネジメント、安全性の面で国際的に高い評価を受けていて、安心して海遊びを楽しむことができます。
この他にも、ブルーフラッグ認証を受けている須磨海水浴場でユニバーサルビーチに取り組む「NPO法人須磨ユニバーサルビーチプロジェクト」が中心となって、全国の海水浴場でユニバーサルビーチの体験イベントをおこなったり、自治体がバリアフリービーチイベントを主催するなど、ユニバーサルビーチの輪が広がっています。
ぜひ夏に向けて、お近くのユニバーサルビーチを探してみてください。
※1 ブルーフラッグ認証ビーチ=国際NGO FEE(国際環境教育基金)が実施するビーチ・マリーナ・観光船舶を対象とした世界で最も歴史ある国際環境認証。認証基準を達成すると取得でき、毎年の審査を通じて、ビーチやマリーナ等における持続可能な発展を目指している。 出典:一般社団法人日本ブルーフラッグ協会HP
- お近くのブルーフラッグ認証ビーチを探してみる
一般社団法人日本ブルーフラッグ協会 https://blueflag-japan.org/
NPO法人須磨ユニバーサルビーチプロジェクト https://sumauniversalbeach.com/index.html
☆最後に☆
2025年の夏は長女の友達、そしてそのまた友達と一緒に海遊びに行きました。
はじめましての方でも、外で同じ遊びをするだけで不思議と仲良くなれる気がします。
このはじめましてのご両親からは、「自分たちは海好きだったけれど、障害のある我が子と一緒に海に行くなんて想像していなかった。今回来られてよかったです!」というお話をいただきました。
『楽しく過ごせる今、この時を楽しむ!』が我が家のモットー。
毎回何かしら気づきや失敗があるけれど、それも楽しい経験のひとつだと前向きに捉えています。
我が家の場合は、キャンプが好きで外遊びへの抵抗が少なかったこと、きょうだい児が行きたがったこと、私自身がユニバーサルビーチの存在を知っていたことなど、いくつかの要素があったので海遊びも楽しめそうだという感覚がありました。
でも、そんなきっかけがなくても「行ってみたら楽しめるかも♪」という気持ちがあれば十分!
今回書いたように、まだまだ設備面での希望はつきないのが現状ですし、まだまだハードルが高いな~と感じるかもしれませんが、海に行ってみたいと思ったその時がチャンスです!!
この体験記がみなさんの海遊びの参考になれば嬉しいです。
次回は、首都圏のユニバーサルビーチの様子をもう少し詳しくお伝えします。
≪参考≫ 海遊びに持っていくとよいもの
水着、ラッシュガード、ゴーグル、ウォーターシューズ、タオル、浮き輪、ライフジャケット(なくても借りられる)、休憩中にかぶる帽子とサングラス、日傘、休憩&着替えにも活用できるポップアップテント、アウトドアチェア、レジャーシート(ビーチ用、着替え用)、スポーツドリンク、しょっぱい食べ物(塩レモン系、スナック菓子等)
我が家ではこれらのものを一度に運べる「キャンプワゴン」を利用しています。キャンプワゴンが一台あれば大量の荷物運びでヘトヘトということもなく、とても便利!他のレジャーシーンでも使えるのでおすすめですよ。





