kikka

2025.02.28

娘とともに広がってゆく世界
Buranoや関わるすべての方々と出会えて、成長してきた15年

娘は2009年7月に予定日より1ヶ月早く誕生した。 

私は、当時2万人に1人の確率と言われた羊水塞栓症(ようすいそくせんしょう)によって血栓症になり、娘も苦しませてしまった。 
娘の病名は脳性麻痺、四肢麻痺。胃ろうや痰の吸引が必要な医療的ケア児だ。

娘が小さなころは娘について話せる人や相談できる人が少なく、1歳でリハビリを始めたことで私の世界も広がった。

 

育休中には仕事復帰を考え、保育園を探していた。

 

しかし、娘は頻繁に発作を起こしたり、痰の吸引などの医療的ケアが必要であったりしたため、しっかりと見守るための人員確保が困難であると入園を断られた。重度障がいがある子どもと知りながら面談をし、話を聞いてくれた園長には感謝した。

 

娘を祖母に預け、仕事をしながら通院やリハビリへ通った。

  (▲初めての施設でリハビリを受ける娘 クッションは先輩ママの手作り)

 

3歳になるころ、医療的ケア児でも療育を受けることができる施設に通えると知った。
施設が選べたわけではなく、近隣にはこの施設1つしかなかった。 

娘がたくさんの感情を知れる場所だと思い、利用し始めた。

児童発達支援と呼ばれる未就学の子どもたちと、生活介護と呼ばれる18歳以上の大人が

同じ空間で一緒に過ごした。

 

スタッフの方は温かく受け入れてくれ、先輩ママたちはいろいろなことを教えてくれた。 
看護師さんや介護士さんたちもとても優しく、娘だけではなく自分自身も助けられた。 

就学する年齢になったとき、長期休み以外は施設を利用できなくなると知り、絶望感や環境が変わる不安感とでいっぱいになった。

 
日常的に利用できる施設がないまま始まった学校生活。 

同じ学年のママたちと日常を過ごす中で、少しずつ不安も減っていったけれど、学校以外は娘とほぼ一緒に過ごす日々。

祖父母も同居していたけれど気持ち的にも体力的にも落ちることもあった。

 

娘が小学1年生のころ、「議員さんに思いを伝えることができる」と友人に誘われて参加したイベントで、Burano(ブラーノ)の理事でもある秋山政明さんと出会った。

 

議員さんと話すなんて無縁だと思っていたため、とてもドキドキして参加したが、話下手な私の話も一つひとつ丁寧に頷いて聞いてくれるその姿勢に、

なかなか届きにくい市民の困りごとを、少しも漏らさずに汲み取ろうとして来てくれたのだと感じた。

 

秋山さんご自身のお子さんも障がいがあると知り、私を含む4人で何度も話し合いを重ねた。

 

子供たちのこと、きょうだいのこと、一番介護を担う頻度の高い母親の仕事のこと。

 

行動力のある秋山さんに引っ張られる形で、医療的ケアを必要とする子どもたちが0歳から療育を受けることができる施設「Burano」が誕生した。

  (▲Burano理事の秋山政明さん)

 

Buranoに通い始めて今年で6年。

娘は学校に通いながら、週に1、2回Buranoへも通っている。

学校だけではなく、施設でもお友だちができた。

 

看護師さんや、保育士さん、沢山のスタッフさんはいつだって穏やかに迎えてくれる。 
いつでも気軽に相談出来る相手がいる安心感がある。
同じように障がいを持つ子どもを通わせるご家族もいる。
当事者のきょうだいさんたちも、集まればいつだって一緒に遊び始める。

何でも話せるママ友も、私自身の友人になった。

たくさんの仲間が自分にも増えた。

 

Buranoでは毎回いろいろなお友だちと出会い、いろいろな遊びを楽しむ。 
バギーに乗って近くの公園へお散歩に出かけたり、

お友だちと隣で一緒にゲームをしたり、

室内では本を読んでゆっくり過ごす日も。
クッキングや実験など、自宅では到底してあげることのできない遊びも取り入れてくれる。 

言葉を発したり、動けたりするお友だちは「おはよう」「またね」と挨拶をしてくれる。

話せなくても同じ空間で静かに何かを感じ合っている。

 

お友だちやスタッフさんの笑い声も賑やか。「こんな気持ちかな?」と気持ちを汲み取ってくれる様子も、寄り添ってくれる感じがして、とても好き。 

周りのたくさんの声や動きを感じて、日々いろいろなものを吸収している娘。ほぼ寝て過ごす日もあれば、娘よりも小さなお友だちが多い日にはお姉さんぶり、しっかりと起きて見本を示している様子もある。この社会でたくさんのことを学んでいる。

 

日々たくさんのお友だちや施設の方々、それぞれの先生と接している娘。

 

この文章を書きながら娘を思い返してみると、以前より断然広がっている世界を、それでも狭いと思っていたのは私だけなのではないか、娘の世界は私よりも何倍も広くカラフルなんだろうと感じた。

 (▲tittaでの活動 料理体験)

 

Buranoで以前、救急搬送に遭遇したことがあった。 
急な体調の変化に瞬時に気づき、スタッフさんたちは声をかけ合っていた。

他にも何人かの利用者さんがいたが、それぞれにスタッフさんがついて、

不安にさせないようにと寄り添いつつも、

一人に任せるのではなく、何人かの看護師さんが対応していた。

他の利用者さんに寄り添いながら、当事者対応のスタッフさんにも声をかけていた。

 

緊迫感もありながら、とても自然に声をかけ合っていたスタッフさん達を目にし、

これほどにコミニュケーションの取れている施設には出会ったことがない。

ここならば安心して預けることができると感じた出来事だった。

 

 

Buranoにはkikka(キッカ)という大人の為のプロジェクトがある。
子どもを預けても、預けなくても働くことができる取り組みだ。 
また、遠方でも仕事ができる。

私は娘を預けながら週に1~2日、kikkaで働いている。

一般の会社で働くことの難しい私にはとてもありがたい環境だ。

自分のできる範囲で、できることに取り組んでいる。

 

今後チャレンジしたいことをずっと考えているが、なかなかこれというものは見つけられないでいる。最近は映像をほめてもらえたことがあり、映像製作にも興味があることに気づかされた。

 

娘も来年は高校生。

就学できるのもあと3年。

(▲学校にて。眩しくて目を閉じる娘。桜が綺麗と教えてくれるお友だち)

 

3年後、また生活環境がガラッと変わる。
その時の自分も、同じように働いたり動いたりすることができるのか。
その為にも、在宅ワークでのスキルを習得していきたい。

娘の年齢とともに悩みも変わってくることを実感している。

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